機能性表示食品で血圧に効果があるといえる?薬事法を知って正しく広告

2015年に機能性表示食品の制度が始まりました。しかし、広告やパッケージの表示でうっかり「誇大広告」になってしまい、課徴金などの罰則を課せられてしまう場合もあります。今回は、血圧を改善できる機能性表示食品を例にとって、どのPRは大丈夫なのか、また使ってはいけない言葉は何なのかなどを紹介します。参考にしてください。

機能性表示食品なら血圧について効果を言える?

血圧が気になると薬だけではなく、健康食品も利用したいと思っている人が多いです。健康食品一般では、血圧など効果についての記述はできません。それでは、機能性表示食品で血圧について効果があるといえるのでしょうか?

機能性表示食品は届け出時点で注意

機能性表示食品として登録したからといって、どのような機能でも記述できるわけではありません。登録するときにどの機能でアプローチするかを決めましょう。それ以外の機能については記述できません。

広告での表現に注意!

食品が血圧に効果があると記述するのではなく、含まれている成分が血圧に効果があると表示しなくてはいけません。消費者に誤解を招く表現をすると、たとえ機能性表示食品に登録されていても罰せられます。

ラベル表記にも注意

罰せられるのは広告だけではありません。機能性表示食品には色々な規定があるので、その規定通りにラベルやパッケージに必須の表示規定があります。書かなくてはいけないことが書いてなかったり、書いてはいけないことが書いてあると処罰されます。印刷してから差し戻されたら損失が大きいので、確認をきちんとするようにしましょう。

機能性食品であっても「血圧が下がる」と言ってはいけない

疾患に作用したり、体になんらかの効果があるといえるのは、医薬品のみです。医薬品以外で効果を記述すると薬事法で罰せられます。そのため、機能性表示食品だけではなく、トクホも「血圧が下がる」という表現は使えません。

「高血圧」という言葉も気をつけてください。高血圧は疾病で、医薬品を使ってコントロールされなければいけない症状です。そのため、「高血圧の方へ」といえば、血圧が下がることを暗示してしまうため、使えません。

どのような言い方なら大丈夫?

具体的な例も参考にしながら、血圧に訴求できる表現を紹介します。

血圧という言葉の扱い方

「高血圧」という言葉は疾病の名前ですから使えないと言いました。それでは「血圧」はどうなのでしょうか?

「血圧」というのは誰でも体に持っている機能です。高いか低いかという違いがあるだけですから、「血圧」という言葉は使えます。そのため、機能性表示食品の紹介文では「血圧が気になる方へ」と書けば問題ありません。

成分の効果を説明

最も注意しなくてはいけないことは、機能性表示食品そのものが血圧に効果があるのではなく、機能性表示食品に含まれる成分が、血圧を改善するということです。

ですから、「成分●●によって血圧改善が期待される」ということを明記する必要があると同時に訴求したい機能性表示食品について、「これを摂取すれば血圧が改善すると期待できます」とは記述できません。

具体的な広告例

どのように広告でアプローチをすれば良いのか迷ってしまいます。ここでは、具体的に広告でどのように効果を訴求しているのかを紹介します。

具体例1:血圧が高めの方の健康緑茶は、血圧低下作用を有する機能性関与成分「ヒハツ由来ピペリン」を含み、血圧が高めの方の血圧を改善し、正常な血圧を維持する機能性表示食品の粉末緑茶です。(大正製薬『血圧が高めの方の健康緑茶』)

「高血圧」というと症例になりますが、「血圧が高め」であればOK。そして機能性表示食品を登録したときにエビデンスを提出した成分「ヒハツ由来ピペリン」が「正常な血圧を維持する」と述べています。「維持する」は体の変化について述べていないため、使える表現です。

そして記述が義務付けられている文章は以下の通りです。

「本品は、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、消費者庁長官に届出されたものです。ただし、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。」、「本品は、疾病に罹患している者、未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)及び授乳婦を対象に開発された食品ではありません。」

たくさん文章を記述しても誰も読まないのではないかと思われがちですが、たとえ読まないとしても必ず表記しておく必要があります。万が一、記述していないことが分かれば、行政指導があることを忘れないようにしましょう。

具体例2: 食塩無添加 血圧が高めの方へ(カゴメトマトジュース、野菜ジュースについての公式サイトでの説明)

「血圧も、コレステロールもあきらめない」
血圧について話すときにあまり使用しない「あきらめない」という言葉を使うことで改善していくことが表示されていて、とてもうまいキャッチです。

プラス以下の成分に関する説明が続きます。

「野菜ジュースに含まれるGABA(ギャバ)に高めの血圧を下げる効果がある、と実証されました。
GABAはアミノ酸の一種で、血圧降下作用を持つことから、健康機能成分として注目を集めています。
野菜の中でもトマトには比較的多くのGABAが含まれています。」

というように含まれるGABA(ギャバ)という成分について詳しく書くことによって、血圧への効果が消費者の頭に入っていきますね。

また、「食塩無添加」がさらに訴求力を生む言葉です。食塩無添加や低塩分など、塩分が血圧を上げる原因であることは周知です。周知事項を利用して訴求できます。

▽まとめ

薬事法を知って機能性表示食品をPR

血圧に効果がある機能性表示食品を紹介する場合の注意点と具体的にどのように訴求できるのかを紹介しました。

・効果があるとされる成分についてよく説明すること
・周知事項を使うこと
・「血圧が高めの方へ」「血圧が気になる方」と記述

というようにちょっとした言葉の使い方で制限の中で訴求することは可能です。薬事法をよく知っていると、薬事法に引っかからない方法で訴求力のある広告が作られます。機能性表示食品をこれから市場に出していきたいとお考えなら、薬事法の知識は必須です。薬事法管理者など法律のプロに任せましょう。

▽参考情報

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/pdf/food_with_function_clains_180315_0001.pdf

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