健康食品会社、化粧品会社にとってのABテストを行う際の注意点
健康食品会社や化粧品会社では、ECサイトでABテストを実施している会社も多いでしょう。ブランドや商品について周知させて、売り上げにつなげるためには、ABテストは欠かせないWebマーケティング施策です。ここでは、実際にABテストを実施する場合にはどのようなことに注意して行えばよいのかについて説明します。。
テストの目的をはっきりさせる
ABテストとは、Webページを構成しているクリエイティブをAパターンとBパターンの2つ用意してインターネット上に公開し、どちらのクリエイティブがより高いコンバージョン(CVR)を得られるかテストする方法です。Webサイトでは、さまざまなクリエイティブ(デザインやコンテンツなど)が可能なので、どの方法が最も効果が高いのを実際に試すのがABテストになります。
健康食品会社、化粧品会社がABテストを行う際の注意点としては、まずテストの目的をはっきりさせることが大切です。ABテストそのものの目的は、コンバージョン率を挙げることです。しかし、ABテストで行うクリエイティブの修正が、いきなりコンバージョン率に結びつくわけではありません。クリエイティブを修正した結果、何かが改善して、その効果としてコンバージョン率がアップするという流れです。コンバージョン率はあくまで結果に過ぎません。大事なのは、コンバージョン率を上げるために改善すべき箇所を見定めて、それをABテストの目的として設定することです。
具体的には、トップページからの離脱率が高ければ、離脱率を低くするのがABテストの目的になります。バナーやボタンのクリック率が低ければ、これらのクリック率を高くすることが目的として設定できるでしょう。コンバージョンを上げるという大きな目的を達成するために、その手間の目的をきちんと設定することが、ABテストを成功させる鍵です。
健優先順位を決めて1カ所のみテストする
健康食品会社、化粧品会社がABテストを行う際の注意点として次に挙げられるのが、1カ所に限定してテストすることです。ABテストを行うとき守らなければいけないことが「一度に変更するのは、1か所である」ということです。ABテストでテストできる箇所はたくさんあります。しかし、一度に何カ所もテストしてしまうと、コンバージョンについてよい結果が得られたときに、どこを変更したのがよかったのかわかりません。
ABテストでは、ファーストビューや画像、キャッチコピー、デザイン、CTAボタンなど、テストすべきところがたくさんあります。どこにコンバージョン率アップのヒントが隠されているかわかりませんが、1つずつ順番に検証していきます。また、テストする際は、オリジナルパターン以外にもう1パターンだけ用意するのが一般的です。2つのパターンに限ることで、比較検証しやすくなります。このとき気をつけたいのが、比較要素を明確にすることです。
たとえば、文言を変えた2パターンを作る場合には、男性的なメッセージのものと女性的なメッセージのものを比較するようにします。画像を変えるのであれば、人物が入っている画像と入っていない画像で比較します。比較が明確にできるように工夫することで、より訴求効果が高いクリエイティブを知ることが可能です。
健康食品・化粧品会社でABテストを行うメリット
健康食品・化粧品会社でABテストを行うことには、さまざまなメリットがあります。まず、コンバージョン率を上げられる点です。ABテストはコンバージョン率アップというテスト目的がはっきりしています。そして、健康食品・化粧品会社のECサイトも、商品販売という目的がはっきりしています。ですから、正しくテストを行えば効果測定しやすく、ABテストのメリットを最大限に活かすことが可能です。
また、ABテストは、手軽にサイトを改善できる点もメリットです。あるサイトを立ち上げたものの、思ったような成果(コンバージョン)を得られていないときは、サイトに何らかの問題があることが想定できます。しかし、だからといってサイトを全面的にリニューアルするとなると、大きなコストがかかりかねません。この点、ABテストは既存のサイトを維持しながら改善していけて、業者に依頼しない限りは、基本的に費用もかかりません。限られた予算の中でサイトの効果を高めることができるのが利点です。
ABテストは、サイト運営者が自分でできる点もメリットです。Googleアナリティクスなどでは、最初からABテストの実施が組み込まれているので、はじめての人でも比較的簡単に設定できます。実施するには手順を覚えたり、効果測定をしたりする作業もありますが、慣れてくれば誰でも実施できます。ECサイトのコンバージョン率アップについては専門サービスも各種出てきていますが、自分たちでも実行できるサイト改善方法がABテストです。コストをかけずに、自分たちの手で小さなところから少しずつ改善していくことができます。
テストのタイミングを見極める
ABテストを行うときは、テストするタイミングも大事です。求めるコンバージョン率がしっかり実現できているなら、ABテストを行う必要はありません。コンバージョン率が何らかの理由で伸び悩んでいるときに行うのがABテストです。
コンバージョン率が伸び悩む理由としては、いくつか考えられます。たとえば、そもそもサイトのアクセス数が少ない、離脱率が高い、アクセス数はそれなりにあるのにコンバージョンに至らないといった、さまざまな理由が考えられます。こうしたケースでは、キャッチコピーや画像、ボタンなどサイトを構成している各要素のどこかを修正することで、飛躍的にコンバージョン率を改善することも可能です。つまり、サイト上にコンバージョンを妨げている何らかの問題があると感じられたときが、ABテストを行うタイミングといえます。
仮説をしっかり立てる
ABテストを行う際には、仮説をしっかり立てましょう。何となく、A案とB案を作ってテストしたのでは、せっかくのABテストのメリットが活かされません。ABテストは、仮説を立てて実施し、結果を分析検証して、改善を見つけ、またテストするというPDCAサイクルを回すことに意味があります。ただやみくもにテストのみをしても、コンバージョン率アップという目的は果たせません。
テストを行う際には、これまでのデータを分析して、問題がありそうな箇所を見つけ出すのが第1ステップです。たとえばサイトの直帰率が高ければ、ファーストビューの魅力がないのかもしれません。直帰率とは、サイトを訪問したユーザーが、閲覧した最初のページから他のページに移動しないで離脱した割合のことをいいます。ファーストビューとは、ユーザーがサイトを訪問したときに最初に目にするページのことです。他のページも見ようと思ってくれなかったということは、最初のページが興味を引くようなものではなかった可能性があります。
ランディングページのように1ページのサイトで、ユーザーの滞在時間もそれなりに長いのに、コンバージョンに至っていなければ、CTAボタンの作り方やデザインが悪いのかもしれません。CTAボタンとは、購入や問い合わせなど、コンバージョンにつながるような行動をユーザーにさせるためのボタンです。CTAボタンがわかりにくかったり、置かれている場所が悪かったりすると、ユーザーが迷ってしまうケースがあります。このように、どこが悪いのか仮説を立てて、そこを重点的にテストすることで、効率的なABテストが可能になります。
実施したら効果測定を行う
ABテストは行っているだけではいけません。テストしたら、きちんと効果を測定しましょう。ABテストは複数あるクリエイティブの中から、最も結果を出せるクリエイティブを選抜する作業です。ユーザーの心に最もよく響く表現パターンを知ることが目的ですから、どのような効果があったのかを測定しなければ意味がありません。
健康食品会社、化粧品会社のような物販系のサイトでは、商品をより魅力的に見せるクリエイティブや、ユーザーの心理に寄り添うようなクリエイティブなどを研究する必要があります。たとえば、その商品を使うことで得られるだろう将来像を見せたり、実際の使用者の声をのせたりすることで、コンバージョンをアップすることが可能です。しかし、どんな画像を使えばよいのか、どんな文言を使えばいいのか、どこに配置すればよいのかは、ターゲットユーザーごとに大きく異なります。ですから、効果を測定し、よりよいクリエイティブを探し当てる作業が必要になるのです。
ABテストの効果測定は、アナリティクスで行うことができます。Googleアナリティクスは基本的に無料で使えるツールですが、基本機能でABテストの効果検証も行うことが可能です。まず、テスト用ページを作成・設定します。一度に複数のテストページを作ることも可能ですが、一般的には基本Aパターンのほかに、Bパターンを1つだけ作って比較します。スクリプトコードをテストページに埋め込んでテストを開始すると、レポート画面が見られるようになります。「行動」の中の「ウェブテスト」を選択し、データを確認したいテスト名をクリックすると、テストページのデータを見ることが可能です。オリジナルページ(Aパターン)と修正したページ(Bパターン)とを比較したグラフが出てきて、コンバージョン率の違いや「オリジナルとの比較」というところで、オリジナルよりも何%コンバージョン率がアップしたのかも一目瞭然です。こうしたデータをきちんとチェックして、次の施策を考えることがABテストでは欠かせません。
ポイントを押さえたABテストが成功の鍵!
ABテストは、健康食品会社や化粧品会社のような物販系のサイトでは非常に効果のあるテストです。サイトは作りっぱなしではいけません。常にターゲットユーザーの動きや心理を考えながら、よりよいクリエイティブを作って、よりよい商品訴求を行うように努力することが重要です。その際に、役に立つのがABテストです。ABテストを行うことで、ユーザーの心に響くサイトに作り上げていくことができます。
ABテストを行うには、1カ所のみテストすること、仮説を立ててPDCAサイクルを回すこと、効果検証を忘れないことなど、いくつか注意点があります。注意点をしっかり抑えれば、精度の高い検証を行うことができ、ABテストの目的であるコンバージョン率アップにつなげることが可能です。有効性の高いABテストが、無料ツールでも手軽にできるようになっている時代です。注意点をしっかり守りながら、効果的なサイト運営をしていきましょう。
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