健康食品には違反広告事例が多数!対処する方法を考える
健康食品は、機能性表示食品など登録されているものも薬事法や景品表示法に違反するケースが増えています。どのような場合に違反になってしまうのか、具体例も紹介しますから、じっくりと対策を考えていきましょう。ちょっとした表現の違いなどで、措置命令をされないようにする知識が必要です。
健康食品に多い違反例
健康に気をつかう人が増加する傾向にあるため、健康食品は注目されています。機能性表示食品の制度ができて、さらに違反も増加しています。違反になることが多いケースやどのように違反が見つかっているのかなど現在の状況を紹介します。
健康食品の種類を知って他と混同しないように気をつける
健康食品には、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品、と普通の健康食品があります。特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品は保健機能食品として、機能を表示できますが、それぞれのリミットをきちんと把握し、認められている機能以外は表示できません。
当然、保健機能食品ではない、その他の普通の健康食品は機能を表示できない食品です。
機能性表示食品が数も増えてきたこともあり、普通の健康食品があたかも機能性表示食品であるかのような誤解が生じるような表示になっている場合もあります。それぞれの健康食品が属している分野をきちんと認識して、広告できる範囲をわきまえなくてはいけません。
健康食品の広告で禁止されていること
健康食品をアピールするとき、医薬品と混同してしまい、治療効果や予防が可能であるなどと誤解を生じるような表現は禁止です。健康食品はあくまでも栄養補給や健康維持など、あくまで健康な人がその生活を維持していくことが目的です。疾患のある人のためではないということを正確に伝えなくてはいけません。
自治体が実際に購入して調査
機能性表示食品が1,500品目以上登録され、健康に興味のある人たちによって購入されています。そのため、各自治体も消費者が間違って購入しないように、調査をし始めました。
例えば、東京都福祉保健局と生活文化局は販売店やインターネットでの通信販売などで健康食品を購入して調査しています。その結果、販売店で購入した45品のうち17品目、通信販売で購入した80品のうち67品目に違反事項が発見されました。
これからは各自治体がさらに検査に力を入れる動向です。
パッケージに見られた違反事例
広告はネットやチラシなどだけではなく、パッケージそのものも広告として扱われます。
医薬品と誤解される
積極的に医薬品である、または何かを治療または予防できるという表現がなくても、あたかも薬のような錯覚を与える注意事項を入れる場合は禁止されています。例えば、「食前に摂取してください」または、「8時間おきに1袋摂取すること」というように、薬同様の飲み方を指示すると、消費者は薬だと錯覚をします。
名前で誤解される
ネーミングにも気をつけなくてはいけません。例えば「薬膳スープ」は過去にNGになった名前です。実際に薬膳スープも存在しますから、気軽につけられたのでしょう。しかし、「薬」という文字を使った場合、消費者の中には「薬膳」を知らない人もいるため、何か薬を連想してしまいます。そのため、「薬」という文字の入った名前は避けるべきです。
2007年にあった例ですが、DHCに「圧ダウン」という意味不明のネーミング商品がありました。「圧ダウン」という名前の横に血圧計のイラストがあるので、と血圧を下げる言いたいことは明白です。血圧を下げるとは書かれていませんが、厚生労働省から名前を変更するようにと指導がありました。
ただし、企業の名前に関してはある程度の自由が認められています。例えば「ホワイトニング」とは製品につけられませんが、企業名にはつけられます。ただし、「ホワイトニング社が提供するお肌の…」とすると暗示している範囲が広がるため、禁止されています。
機能性表示食品と誤解される表示
日本で機能性表示食品として届け出をしていないにもかかわらず、機能性表示食品かと暗示させないよう注意しましょう。例えば、「機能性乳酸菌」というような一見学術的な何か特別の機能を持っていると思わせるような言葉は使えません。
また、「他の国で機能性食品として認められた」というような表現も機能性表示食品と間違いやすい表現です。
公式サイトや関連ページでの製品の効果についての違反
サイトなどでどのような表現が違反になったのか、具体例を見ていきましょう。
「個人の感想であり、実感には個人差がございます。」と書けば大丈夫?
健康食品の効果について書いた後で、「個人差があります」というような注意書きを載せていれば薬事法違反にならないのでしょうか。このような注意書きを「打ち消し表示」と呼びます。
たいていの場合、打ち消し表示は広告主としては読んでもらいたくないという意図から、小さすぎる文字や消費者が理解できないような専門用語を使っています。そのような場合、景品表示法違反になる可能性があります。
例えば、ティーライフ株式会社が販売していたプーアール茶は容易に痩身できるかと思わせる記述の後「個人の感想であり、実感には個人差がございます。」と書かれていました。しかし、景品表示法優良誤認とされました。
口コミを紹介すれば大丈夫?
口コミサイトから転載した口コミの場合、自社の健康食品を販売するために都合の良い口コミを広告主が選択していると考えられます。そのため、紹介されている口コミは口コミサイトに掲載されたものであったとしても、内容に関する責任は広告主にあります。
さらに人を雇って故意に口コミを書かせた場合は、さらに景品表示法違反になることは明らかです。それだけではなく、ショッピングサイトで自由に書き込みができる場合でも購入者が「飲むだけで痩せた」というような書き込みをした場合は、サイト経営者が適切に対応し、削除する必要があります。
誇大な言葉は禁止
当然のことながら、誇大な表現は禁止です。「最高のダイエット食」や「一番痩せられる」などはもちろん、あっという間に効果が現れるなど事実に反することは書けません。
機能性表示食品に登録されていても事実と反する場合は罰せられるので注意が必要です。例えば、機能性表示食品の葛の花由来イソフラボンの広告で内臓脂肪燃焼の効果を表示し、あたかも飲用すればすぐにでも痩せられると錯覚させるような表現をしたために、太田胃散など16社に措置命令が下されました。
今買わないと損だと感じさせる広告
健康食品の効果や内容について誇大表現や偽りの表現だけではなく、すぐに買わせるために、消費者の心を惑わせるような表現も禁止です。
キャンペーン中などお得な期間を表示
例えば、今だけ値段が安いという表現を使って、消費者をせかせる方法です。実際は、長い期間同じ値段で販売しているにもかかわらず、「今だけ」キャンペーンを表示していると、景品表示法違反になります。
なかなか買えないと虚偽の説明
葛の花由来イソボロン青汁を販売する株式会社CDグローバルの公式サイトで「予想以上に注文が多いために生産が間に合いません」と表示したため景品表示法違反になりました。実際は、販売数を予想した事実はなく、また、注文数もわずかでした。
健康食品の違反広告にならないで訴求力のある広告を出すには
健康食品の違反広告となった事例を具体的にいくつか紹介しながら、注意点を見てきました。違反広告になると文言の撤去、場合によってはパッケージの印刷のやり直しなどがあるだけではなく、信用も失ってしまいます。
違反広告にならないようにするだけではなく、しっかりした法律の知識があるとせっかく考えた魅力的な広告が法律に抵触しないかどうかを気にせず、自由に広告作成できます。そのため、薬事法管理者を目指すのも確実に知識を得るためには有用です。
▽参考情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170929_0001.pdf 違反事例
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/kenko_shokuhin/ken_syoku/ihan_k/gamu.ht
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/risk_commu_2017_005/pdf/risk_commu_2017_0005_171226_0002.pdf
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/28/12.html
http://www.jaro.or.jp/kigyou/soudan_kensuu/toukei/20150310releaseG.pdf
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/03/28/documents/12.pdf
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