不実証広告規制を理解しないと行政措置が!健康食品だけではない
近年、不実証広告規制に反して措置命令を受ける企業が続出しています。健康食品業界はもちろん、それ以外の機器類などでも、誇大広告だと判断されるケースが多いのです。措置命令を受けないようにするには不実証広告規制についてきちんとした知識を持つことが大事です。ここでは、不実証広告規制についてご紹介します。
不実証広告規制に関する措置命令が増加
景品表示法では、消費者に誤解を与えないように、広告やラベルなどの表示に規制を加えています。実際以上に商品が効果的であるというような、誇大表現などに対する規制です。基本的に広告に表示されている効果が真実かどうかを広告だけでは確認のしようがない場合に、「不実証広告規制」の対象になります。
不実証広告規制の措置命令が増加していますが、その中からピックアップした例を紹介するのでどのような場合なのかを確認しましょう。
株式会社GLORIAの豊胸サプリ
株式会社GLORIAの「pinky plus 」を摂取しただけで94%の女性がブラジャーのカップが2ランクアップしたと表示していたことが問題です。また、実際には話題になっているわけではないのに、「TwitterやFacebookで話題になった」と記載され、豊胸効果が事実であるかのような記載が、スマホとPCの公式ページにありました。
体験談もたくさん表示されていましたが、体験談に信ぴょう性が認められない点も指摘されています。体験談に対して「個人によって効果に違いがあり、効果が出ない人もいます」と効果を打ち消すような内容を補足していても措置命令の対象です。
消費者庁は、豊胸効果があることを証明できる「合理的な根拠」の提出を求めましたが、提出された資料は「合理的な根拠」として認められず、不実証広告規制に反するとし、措置命令を出しました。
Life Leafの肥満効果
Life Leafが販売している「ファティーボ」という健康食品で、商品の写真と一緒に「3ヶ月で5.1kg増えた『7つの秘訣』」という小冊子をプレゼントする旨が記載されていました。
直接的に「ファティーボ」の効果を表現していたわけではありません。しかし「ファティーボ」を飲むことで体型を太らせる肥満効果があると消費者に信じ込ませることが可能と判断されました。こちらも株式会社GLORIAの豊胸サプリ同様に「合理的な根拠」を求められましたが、資料を提出できませんでした。
ティライフの痩身茶
「苦しむことなくラクラクダイエットサポート!」、「いつもの飲み物をおいしいお茶に替える新習慣!」、「2大有用成分がラクラクダイエットを応援」といった記載が、消費者庁に飲むだけで痩身できると錯覚すると判断されました。
このような表示をするからには、実際に飲むだけで痩せられる科学的な根拠が必要です。そこで痩身できると証明できる「合理的な根拠」を求められました。しかし、資料を提出したものの、合理的な根拠として認められませんでした。
害虫駆除機器の場合
不実証広告規制を受ける商品は、健康食品だけではありません。例えば、害虫駆除機器の場合、超音波、電磁波を利用して、ゴキブリやネズミなどの害虫や害獣を家から放逐するとして販売していましたが、措置命令が出ました。
「合理的な根拠」を求めたところ、公的機関が実施した実験結果を提出しました。しかし、超音波や電磁波によって、移動するルートに変化はあるものの、人間が意図するように移動させることができるわけではありませんでした。実際に利用してみても、家から追い出せるわけではないことがわかり、「合理的な根拠」は却下されました。
つまりたとえ公的機関が実施した実験であっても、その実験結果が表示されている効果を証明することができないのであれば合理的根拠になりません。
合理的根拠の判断基準は?
以上のように不実証広告規制は、合理的根拠を提出できるかどうかが措置命令を受けるかどうかを左右することがわかりました。合理的根拠について詳しく見ていきましょう。
不実証広告規制の15日ルールとは
消費者庁によって、景品表示法違反が疑われた場合に、広告等で記述されている文章が正しいと証明する客観的な資料を15日以内に提出する義務があります。これが通称15日ルールと呼ばれています。
提出資料が求めている条件
客観的に実証されたもの、つまり科学的な分析による資料です。試験や観察によって科学的なデータを得ている、専門家の学術論文がこれにあたります。しかしたとえ学術論文でも、広告に記述されていることをきちんと証明できなかったら、却下されます。
例えば「1週間で3kg痩せる」と記載しているのに論文では「脂肪が燃えやすくなる」というだけであれば「3kg」の部分が証明されていないということになるのです。
不実証広告規制違反の罰則は?
商品が有利になるよう誤認させるような表示がある認められた場合、措置命令では以下のような3点の命令が出ることが一般的です。
(引用)
命令1:
一般消費者に違法な広告であったことを周知徹底すること
命令2:
再発防止策を自社の役員や従業員に周知徹底すること
命令3:
違法な広告を中止すること(引用終わり)
一般消費者に広告を出すこと
「周知徹底すること」というのは、表現に間違いがあったこと、消費者庁や都道府県から勧告があったことなどを消費者がわかるように広告しなくてはいけません。このような周知事項は、自社に不利益になることが多くあまり知られたくない内容のため、公式サイトのあまり目立たないところに出してしまいたくなります。しかし、どのように掲載があったかまで確認され、一番わかりやすいところに出すように注意を受けます。
もしも応じない場合は、さらに厳しい罰があります。
再発防止策を徹底すること
消費者庁や自治体からの措置命令があったということを役員だけではなく、従業員全体に知らせ、2度と同じようなことが起きないように徹底させます。どのような経過であったか、どのような問題があったのかを、小冊子にまとめて全員に配ることが必要です。
広告の中止
当然のことではありますが、広告は速やかに中止しなくてはいけません。広告とは、公式サイトに記載されていること、TwitterやFacebookなどを利用している場合はそちらに記載されていること、チラシや無料で配られる小冊子などです。
加えて、そのような過程ですでに購入した人からの返品が起きる可能性があります。無条件で返品に応じ、返金などの事務処理も行わなくてはいけません。
課徴金を支払う場合も
全ての場合ではありませんが、かなりの割合で課徴金の支払い命令が起きています。最長で3年間まで遡って、売り上げの3%が課徴金になります。
不実証広告規制に関する命令に従わないと300万円以下の罰金が課せられたり、2年以下の懲役が課せられたりします。最悪の場合は罰金と懲役、両方を課せられるケースもあるので注意が必要です。
不実証広告規制を知らなかったでは済まされない
不実証広告規制について見てきました。機能性表示食品に登録しているからと安心はできません。どこまで広告で表現して良いのかをきちんと判断して、商品のアプローチをしないと大変です。不実証広告規制や景品表示法を知らなかったと言っても措置命令を回避できないのです。
安全に販売するためには薬事法の知識は必須です。薬事法管理者の資格取得をすると法律に抵触しないで、商品の魅力を適切にアプローチできるようになります。
▽参考情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180730_0001.pdf
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180725_0001.pdf
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170929_0001.pdf
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