薬事法の規制と化粧品の輸入に関する疑問点に答えます!
海外旅行のお土産に化粧品をもらったときなど、自分でも輸入してみたくなることがあるかもしれません。しかし化粧品の輸入は、簡単にできるものなのでしょうか。また輸入した化粧品を譲ったり売ったりするのは、問題ないのでしょうか。こちらでは、化粧品の輸入と販売に関する疑問について、薬事法の規制を中心に解説します。
化粧品の輸入における薬事法(現・薬機法)の規制
化粧品を輸入する際には、個人であっても業者であっても薬事法の規制をクリアする必要があります。
販売目的の輸入には化粧品製造販売業の許可が必要
まず、海外から化粧品を仕入れて国内で販売しようとする場合、薬事法に定める化粧品製造販売業の許可が必要です。国内で製造される薬も、海外から輸入される薬も、新たに流通することに違いはありません。
薬事法では、化粧品を国内で流通させる業者に対して、製造販売者としての責任を果たすことが求められています。そのため、厳しい条件をクリアする化粧品製造販売業の許可が必要なのです。また品目によっては、個別の販売承認や届出が必要となります。
個人使用が目的でも薬監証明が必要になる
一方、個人が自分で使う目的で化粧品を輸入する場合には、流通させるわけではないため製造販売業許可は要りません。しかし無条件に輸入できるわけではなく、薬監証明をとる必要があます。
薬監証明とは、厚生労働省確認済みの医薬品等輸入報告書と呼ばれる書類です。販売などを目的とした輸入ではないことを地方厚生局に書類で申告して証明を受けます。薬監証明の手続は税関の所在地によって管轄が決まっており、関東信越厚生局、近畿厚生局、九州厚生局沖縄麻薬取締支所が対応しています。
薬監証明がなくても輸入できる条件とは
薬監証明を受けるには面倒な手続が必要となりますが、税関の確認だけで個人輸入できるケースがあります。
決められた数量以下であれば薬監証明なしで輸入できる可能性アリ
薬監証明なしで個人輸入できるケースとは、輸入する化粧品の数量が一定以下の場合です。その数量は、1品目について24個までとなっています。ただしこの扱いは、あくまでも例外的なものであり、必ず1品目あたり24個まで薬監証明なしで輸入できるという保証はありません。
決められた数量の数え方に注意
特例が適用されたとしても、もうひとつ注意すべき点があります。それは、標準サイズで1品目あたり24個までという点です。ここでいう品目とは、たとえば口紅なら口紅全体のことであり、まったく異なる口紅であっても全部合わせて24個が限度となります。
勘違いしやすい点ですが、別のブランドだったり色違いだったりで、それぞれ24個を買ったとしても、輸入できるのはそれら全部のうちの24個までです。
輸入した化粧品を販売するときの注意点とは
輸入した化粧品を販売するときには、十分に注意する必要があります。
製造販売業者としての輸入販売はリスクが大きすぎる
まず、販売目的での輸入の場合には、前述のように流通させる業者としての責任が生じます。化粧品の安全性や効能効果について、自己の判断で流通可能と決めたわけですから、トラブルが生じれば対応する責任があるのは当然です。また販売後も、継続して情報収集をしなければならないなど、大きな負担が発生します。
なにより、製造販売業の許可を得るためには、総括製造販売責任者など複数の管理者の設置やGVPと呼ばれる管理基準を満たすことなどが必要です。もっとも、こうした条件があるため、よほどの思いがなければ、輸入販売業を行う可能性は低いといえます。
個人使用で輸入した化粧品を売るリスク
逆に、個人輸入で入手した海外製の化粧品を売る行為のほうが簡単で懸念されます。そもそも個人輸入では、自分で使用することを前提に薬監証明を受けたり、特例扱いを受けたりしているため、その化粧品を売ること自体がおかしなことです。その行為自体が違法行為となるだけでなく、健康被害などのトラブルが生じたときに多額の賠償責任を負う可能性があることも無視できません。
化粧品の輸入で輸入代行業者を使うのはアリか
化粧品の輸入が非常に面倒な行為であることがわかったところで、輸入代行業者の利用が考えられます。
輸入化粧品を販売するならアリ
化粧品の輸入を考える理由が販売目的の場合は、輸入代行を使うこともアリといえます。すでに述べたように、自分で輸入して販売するのは、リスクばかりが目立つためです。
しかし輸入代行業者を使えば、化粧品製造販売業者となるのは自分ではなく代行業者です。デメリットとなる部分をすべて抱えてもらえるならば問題はなくなります。ただし、料金がかかることはいうまでもありません。
個人使用ならあまりメリットはない
化粧品を輸入する動機が自分で使うためであれば、わざわざ費用をかけてまで代行業者に頼むメリットは少ないといえます。自分で持ち帰れば済むためです。ただし自分は、海外に行かないが化粧品を輸入したいという場合はメリットがあるでしょう。
▽まとめ
化粧品の輸入は薬事法を守って正しく行いましょう
化粧品の輸入には薬事法の壁が立ちはだかっていることを意識して、違法行為にならないように注意すべきです。巷で化粧品を売っている個人が多く存在するとしても、真似をすると大変なことになります。化粧品の輸入は、海外旅行に行ったときのお土産の範疇で楽しむのがよいでしょう。
▽参考情報
https://www.mhlw.go.jp/topics/0104/tp0401-1.html
http://koda.biz/cosme/index.htm
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/dl/iyaku_yunyu250610_04.pdf
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