薬膳料理と薬事法の関係はあるの?うっかりしていたとはもう言えない

薬膳は、薬事法と関係ないと思っている人も多いかもしれません。しかし、中には薬膳という言葉に一種のイメージを持つ人もいます。そのため、薬膳と名付けられたものを売ろうとしている場合は注意が必要です。知らないうちに薬事法違反をしているかもしれません。知らなかったではすまされないので、法律違反をおこさないように、注意すべきことを紹介します。

薬事法の対象になる薬膳

薬膳は薬膳料理とも呼ばれることがありますが、「膳」に料理という意味が含まれているので正確には薬膳だけで通じる言葉です。薬膳という言葉で、まるで薬が入っているようなイメージを持ってしまう人もいるかもしれませんが、薬膳といっても特別なものではありません。伝統的な料理、例えばおせち料理なども薬膳が含まれています。

薬膳はごく普通に食べているものも多いため「明らか食品」として問題ないのですが、実は薬膳と「薬」という言葉が入っていることが問題です。多くの人が薬膳と聞いて特別な薬のようなものを想像してしまう傾向があります。そのため「薬膳」という言葉は、使うときに注意が必要です。

一例をあげると「薬膳茶」「薬膳スープ」という名前をつけて食品を売ることも違法となります。

ただし、レストランで薬膳を提供している場合は問題ありません。薬膳が問題になるのは商品として、例えば薬膳のレトルトなどを店頭やネットで販売される場合です。

薬膳を薬事法の関係は?

生薬の中には明らかに食品であるものがたくさんあり、食品であれば利用することは可能です。植物の部位や状態によって漢方薬として扱われる場合、食品として扱われる場合があります。例えば、生姜は日常的に購入し、普通の家庭料理によく使われます。しかし、同じ生姜でも乾燥すると漢方薬です。

そして原材料を記述するときに、「生姜」と書くか「しょうが」と書くかも考えるべき点です。お役所によっては、生姜と漢字で書くと漢方薬的なイメージを消費者に与えると考えるところもあります。

現在は生姜と書いても問題ありませんが、将来はどうなるかわからないので商品名などに使う場合はひらがなの方がオススメです。

原材料名を記載する際には、植物名を使い、漢方名や生薬名を記述できません。

医薬品とは何か?

医薬品とは何かということをきちんと知っておくと、その食品が使えるかどうかの判断材料になります。

引用
”日本薬局方に収載されるもの
人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む。以下同じ。)でないもの(医薬部外品を除く。)
人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。”

売り方も問題になります。例えば梅干しをそのまま売れば、もちろん梅干しは食品ですから問題はありません。しかし梅干しを潰してカプセルに入れ、更年期障害に効くと言って売れば薬事法違反です。

料理に使われる材料も同様で、含有するだけなら問題はないものも、それが入っているために、治療または予防に使用されると言うと問題になるのです。

薬膳料理を紹介するときに犯しがちな過ち

材料のことを説明するときに、その材料が医薬品の一種と勘違いするような表現をすると薬事法違反です。どのような言い方が問題なのかをNGの例文を紹介します。

原材料として使われている〇〇は、古くから漢方薬として利用されていました。
住んでいる人の80%が100歳まで生きると言われる、〇〇島で万病薬として利用され続けています。
ヨーロッパでは、胸焼けに効くハーブと言われて、お茶にしてよく飲まれています。
江戸時代に蘭学を学んだ〇〇が書いた医学書にも紹介されています。

このように歴史上の事実だからと記述すると問題になる場合が多いので注意が必要です。

広告で言い換えのコツ

広告でどのように言えばいいのか迷いますが、ちょっとしたコツで同じことを問題なく言い換えることが可能です。

個人的な感想にする

自分でどう感じるかというコメントならば大丈夫です。もちろん、これを食べて便秘が治りましたなどという、効果を言ってはいけません。

例えば「髪が綺麗にふんわりしているような気がする」「顔を触るとツルツルしてきたような気がする」などなら大丈夫です。

断定しない

「期待できる」や「可能性がある」という言葉でしめます。絶対断定してはいけません。

応援する

「毎日の食事があなたの生活を応援する」とか、「活動的なライフスタイルをサポートする」という言い方です。とてもポジティブな響きがあり、寄り添っている感じがします。

直接体に効くとは言わない

冷え性にも効果があると言いたい場合に「体が温まる」とは言えませんが、「寒さに強くなる」は大丈夫です。受け止めた人は、同じ意味として捉えますが、「寒さに強くなる」は体に直接働きかけることを言っている訳ではありません。

▽まとめ

薬事法を知って、薬膳を安心して提供しよう

薬膳をレトルトなどで売りたいという場合に、気をつけたいことを紹介しました。同じことでも言い方を変えるだけで、薬事法違反になる場合もあれば、全く問題ない場合もあります。ちょっとした違いですが、もし不安であればきちんとした知識を持った方が安心です。薬事法管理者資格を取得するための勉強を始めてみてはいかがでしょうか。

▽参考情報

http://do-mo.jp/wp-content/uploads/2013/10/iyakuhin-iryoukiki-hou-pre-sample-iyaku.pdf
http://www.sigayaku.jp/kusuri.htm
http://www.hokenkai.or.jp/iyakuhin/03.pdf
http://www.pref.aichi.jp/iyaku/koukoku/jirei.html
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg/kenko/130404/summary0404.pdf

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