薬機法で化粧品への使用が禁止されている表現はこれだ!
薬機法の規制が厳しい現在では、薬機法の内容を知らずに化粧品の広告表現や宣伝文句を考えることはできなくなっています。受け手の心をくすぐる表現が、ほとんど使えないといえるのが薬機法です。ここでは、化粧品への使用が禁止されている表現など薬機法の基本的な考え方を解説します。
化粧品の宣伝文句を決定づける薬機法の考え方
薬機法(旧薬事法)では、保健衛生を向上させるために、医薬品や化粧品などを対象に規制を行っています。その規制には、有効性や安全性についての誤認や誤解を防ぐための広告規制も含まれており、化粧品の宣伝に使用できる表現も規制対象です。
そもそも薬機法で化粧品に該当するものは何か
薬機法で対象となっている製品は、化粧品のほかに医薬品、医薬部外品、化粧品、それに医療機器等の4種類です。この中で、医薬部外品には薬用化粧品が含まれています。薬機法に則した表現を考える場合、化粧品だけでなく医薬部外品である薬用化粧品や育毛剤なども含めた検討が必要です。ただし、化粧品と薬用化粧品では規制内容が異なります。
薬機法の条文では、化粧品の定義として以下の記載があります。
「この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌(ぼう)を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」
(薬機法 第2条第3項本文)
つまり一般に化粧品と呼ばれるものだけでなく、石けんやシャンプー、育毛剤なども含まれる記述となっているのです。しかしシャンプーを例にとっても、単なる化粧品とは呼べない成分を配合しているものがあります。そこで重要になるのが、この条文の続きです。
「ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。」
(薬機法 第2条第3項ただし書き)
このただし書きの存在によって、化粧品は化粧品として、薬用化粧品は薬用化粧品として規制する形になっています。
化粧品の宣伝で許される表現手法
化粧品の宣伝で許される表現手法は、その製品を使用することで「現状維持」を期待させるところまでです。法の条文にもあるように、化粧品は見た目をよくすることや健康の保持が目的の製品だからです。
具体的には、厚生労働省の医薬安全局長通知で56個の表現手法が示されています。以下にいくつか例を示します。
・毛髪をしなやかにする。
・フケ、カユミを防ぐ。
・肌を整える。
・日やけを防ぐ。
・口唇の荒れを防ぐ。
56個以外の表現であっても、56個に類するものであれば認められるケースがあります。
化粧品に使ってはいけない広告表現
薬ではない化粧品には、薬と誤解させる表現は使えません。また、薬と誤解しない表現であっても、その製品が持っていない効能を示す表現も禁止されています。
化粧品で禁止される表現手法
化粧品に限らず、化粧品の販売やアフィリエイトで起きやすいのが誇大広告です。ウソや大げさな表現は禁止されています。薬でもないのに治療効果があるかのような表現は誇大広告の典型だといえます。
気をつけたいのは、注目を集めるためのキャッチーな表現です。薬機法の考え方でいえば、そのほとんどが規制に引っかかると思っておけば間違いありません。
化粧品で禁止される表現の具体例
先に述べた「フケ、カユミを防ぐ。」という効能を、「フケ症を治す」と書いてしまうとアウトとなります。同じようなものだと感じる人もいるでしょう。しかし、化粧品が「治す」ことはあり得ないことです。同様に「小じわをなくす」といった表現もできません。化粧品の効能としては「小じわを目立たないように見せる」のが限界だからです。
薬用化粧品についての宣伝文句の考え方
薬用化粧品についてもベースとなる考え方は化粧品と同じです。
薬用化粧品は医薬部外品
医薬部外品である薬用化粧品とは、化粧品と医薬品の中間的な存在であり、そのための有効成分が入った製品のことです。
薬用化粧品で許されている表現手法
化粧品の分野では重要となるキーワードに美白があります。化粧品ではあくまで見せ方でしか表現できない美白ですが、薬用化粧品なら承認を受けた事実にもとづいている場合に限り、美白表現を使用可能です。たとえば「メラニンの生成を抑制してシミ・ソバカスを防ぐ。」などです。
薬用化粧品に使ってはいけない広告表現
薬用化粧品でも、承認を受けた効能効果を除いて化粧品と同様の規制があります。
薬用化粧品で禁止される表現手法
薬用化粧品の場合、薬用の文字が入るため化粧品よりも突っ込んだ表現をしてしまうことがあります。しかしベースとなる禁止表現は、化粧品と大差ありません。
薬用化粧品で禁止される表現の具体例
「肌が白くなる」とか「シミ・ソバカスをなくして美白を」といった表現は、承認を得た効能効果とは異なり事実に反します。また「1週間で効果が出る」とか「他社より強い効果」「誰もが驚く美白」などといった表現も、効能効果の範囲を超えているため使用できません。
▽まとめ
まだまだ奥が深い薬機法と化粧品の広告宣伝
薬機法の規制によって、化粧品ではメークによる見せ方を中心に、薬用化粧品では承認を受けた効能効果の範囲で広告宣伝の表現を考えます。しかも、誇大な表現にならないように注意が必要です。薬機法は難解な法律であり、化粧品の分野だけでもまだまだ細かいルールがあります。薬機法をしっかりと学ぶためには、薬事法管理者認定試験の受験を考えるのもよいでしょう。
▽参考情報
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145
https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20170906_ADguide.pdf
http://www.kami-siragazome.com/hair-care/7849/
https://www.jcia.org/user/public/knowledge/glossary/cosmeceuticals
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