薬事法だけでない!景品表示法で課徴金制度について

サプリメントや化粧品など、薬事法に関連した商品の販売には内容に配慮する必要があることを多くの人が知っているでしょう。一方で、広告制作をするうえで、もうひとつ配慮すべき法律が景品表示法です。景品表示法に違反すると、課徴金の支払いが命じられることがあります。この記事では、景品表示法における課徴金制度のポイントについて紹介します。

景品表示法に違反すると課徴金が必要となる

健康食品や化粧品の販売で、最新の注意をはらいたいのが薬事法です(※薬事法は現薬機法のことを指します)。一方で、これらの商品を含めた一般的な商品の販売に関しては、景品表示法という法律にも配慮する必要があります。

なぜ景品表示法に配慮する必要があるのかというと、法律に違反すると、行政より課徴金が徴収されることがあるためです。課徴金とは、国が税金以外に徴収するお金のことを指します。課徴金は、景品表示法にかかわらず、さまざまな法律に違反したときの罰則として、徴収されるものです。課徴金を課せられると、お金の負担がかかるだけでなく、該当した企業や商品もリストアップされるため、企業が受けるイメージダウンが大きくなります。

課徴金制度とはどんな内容?

景品表示法の課徴金は、2016年の法律の改正によって追加された制度です。2016年以前、景品表示法に違反する不当表示が社会問題になりました。不当表示というと分かりにくいかもしれませんが、実際の商品の内容や価格とは異なる事実を広告などに載せることをいいます。たとえば、食品の産地の偽造なども景品表示法の不当表示にあたるものです。
景品表示法の改正は、不当表示に対して課徴金制度を課すことで、企業やきちんと責任を持って広告を出す狙いがあるのです。

課徴金が対象となる事例は?

実際に、景品表示法で課徴金の対象となるのは、どのようなものがあるか気になる人もあるでしょう。景品表示法における課徴金制度は、具体的に次の2つの不当表示がされた場合に起こるものです。具体的な不当表示には次のものがあります。

・優良誤認表示
優良誤認表示は、実際の商品の内容とは別の事実を記載することをいいます。たとえば、無果汁ジュ―スを「果汁100%」と表記することは、優良誤認表示にあたります。

・有利誤認表示
有利誤認表示は、実際の商品の価格とは別の事実を記載することをいいます。たとえば、「徳用パック」と表記されているのにもかかわらず、ばら売りでも1個あたりの価格が同じである場合などがあたります。

優良誤認表示と有利誤認表示は、消費者の誤解を招くだけでなく、企業間の公平な市場競争を妨げるものであるため、課徴金の対象となることを覚えておきましょう。

課徴金はどのくらいになる?

罰則的な意味もある課徴金ですが、金額について気になる人もいるでしょう。課徴金の額の算出方法には規定があります。具体的には、課徴金の徴収の対象となった商品の売り上げ額の3%程度と決められています。一方で、課徴金徴収の対象となる商品の売り上げが5,000万円に届かない場合は、行政より支払いの命令はされません(課徴金にすると、150万円未満の場合になります)。

課徴金の対象となる期間

課徴金の具体的な額を計算するのに大切となるのが、課徴金の対象となる期間を知ることです。課徴金の対象となる期間は、景品表示法に定められている不当表示を始めた日から中止した日までの期間が対象となります。課徴金を徴収する対象期間は、最大3年間です。行政から課徴金に関する通知があったのにもかかわらず、不適切な表示の広告を続けると、課せられる課徴金は3年間までは増えていくことを意味します。

課徴金の対象となったときの対応について

実際に課徴金の対象となっても、景品表示法の規定に沿った手続きを踏めば、減額や免除が認められます。具体的な方法は、不当表示によって影響を受けた消費者に対して、返金を行うことです。
課徴金の知らせを受けたら、まずは消費者に対する返金計画を消費者庁に提出し、適切に支払いを行いましょう。このときの返金額は、該当の商品を購入した消費者に対して、購入額に3%分を上乗せした金額となります。
景品表示法で課徴金の支払いが命じられた場合、消費者や行政に対して、適切な対応を取ることで、返金分の金額が課徴金から減額されます。さらに、消費者への返金した分の金額が、課徴金の額を超える場合は、課徴金の支払いそのものが免除されます。
ただし、もともと課徴金の徴収の対象となることが、あらかじめ分かっており、対応がされた場合は、減額となりません。

▽まとめ

薬事法だけでなく景品表示法にも気をつけよう

化粧品やサプリメントなど薬事法と関わりのある商品の広告を制作するときは、景品表示法にも気をつける必要があります。取り扱う商品の広告内容が不適切とみなさされば、課徴金を課せられるおそれがあります。一度、行政から課徴金を課せられると、該当の企業や商品がリストアップされるため、イメージダウンは計り知れません。薬事法とかかわりのある商品だけでなく、そのほかの商品やサービスの広告を販売するときは、法律の範囲内で効果的な広告を出すことも大切です。景品表示法における課徴金の徴収を避けるためにも、関連する法律の知識を深めて、効果的な広告を制作しておくことがおすすめです。

▽参考情報

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/
https://business.bengo4.com/articles/35

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