全成分表示のルール(化粧品)

1)表示しなくてよい成分
①企業秘密成分(非表示成分)
企業が秘密にしたいと思う成分は厚労省の許可を受ければ成分表示中、単に「その他」と記載できることになっています。しかし実際のところ、厚労省は承認申請を基本的に認めない方針のようです。
また、全成分表示が導入されて 20 年以上経つ米国でも、米国食品医薬品局(FDA)が認可したのはわずか十数件と言われていることから、欧米の先行事例に期待することも難しいと言えます。

②キャリーオーバー成分
有効成分としてでなく使われている成分、つまり、製品自体の防腐のためとか、脱色防止のために使われる成分はキャリーオーバー成分と呼ばれますが、これは表示の必要はありません。

〈注〉混合物・抽出物・香料
①混合物は、混合されている成分毎に表示記載します。

②抽出物は、抽出された物質と、基になる抽出溶媒や希釈溶媒とを分けて記載します。

③香料については、「香料」という表示が可能です。香料は多成分からできている混合物ではありますが、これを一つの成分とみなして香料配合量を他の成分と同様に表示することができます。

2)記載の順序
挙げられる記載法としては、下記の 4 つがあります(表①~③参照)。

①全成分を配合量の多い順で記載する。
②配合量の多い順に記載して、配合成分 1%以下は順不同で記載する。
③着色剤以外の成分を配合量の多い順に記載し、その後に着色剤を順不同に記載する。
④着色剤以外の成分を②に準じて記載した後、着色剤を順不同に記載する。
〈注〉May Contain 制度
シリーズ製品においては、May Contain 制度を活用することが可能です。
色や香り、つまり成分の中で、着色剤などの部分のみ相違があり、販売名も同じで性状も同じ口紅、ファンデーションやマニキュア、頬紅、石けん、オーデコロン等によく見られる「シリーズ製品」に限っては、着色剤に該当する成分は、その製品にその成分が配合されているか否かに関らず、[+/-]の記載の後にそのシリーズに配合される全ての着色剤を表示することが認められます。これが May Contain(含まれているかもしれない)制度です。
例えば、表③の場合、01、02、03 全てに同一の表示をすることができます。01、02 には黄色 4 号は入っておらず、03 には黄酸化鉄は含まれていませんが、[+/-]の記号の後に黄酸化鉄・黄色 4 号と書くことができます。

3)記載の対象(商品・サンプル・テスター)
サンプルにも記載は必要です。テスターは対面での説明が可能なので、テスター容器への記載は義務づけられていません。しかし、消費者がテスターに対して説明を求めた時に、すぐにその場で全成分表示が見られるようにしておく必要があります。

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