機能性表示食品の英語表記と海外展開・海外企業との関係

機能性表示食品に関する英語の表記についての関心は少なくないようです。機能性表示食品の届け出自体は、日本の事業者が日本語で手続する必要があります。しかし、制度を海外に紹介するときや、海外進出を考えるとき、多くの場合で英語表示をする必要が生じます。機能性表示食品の英語表記と海外進出について見ていきます。

機能性表示食品に関する用語の英語表記

まず、機能性表示食品に関する主要な単語、表現の英文における適訳を紹介します。

機能性表示食品の英語訳

「Foods with Functional Claims」
最初は機能性表示食品です。機能性と表示、それに食品の3つのワードで構成される専門用語ですが、消費者庁が使用している英語での表記はFoods with Functional Claimsとなっています。消費者庁が英訳する以前に訳語があったというデータは見当たらないため、この訳語は消費者庁が生み出したものと考えてよいでしょう。

したがって、Foods with Functional Claimsを選んだ真意は、英訳を担当した係官でなければわからないことだといえます。しかし、訳語の妥当性は検討できます。Foodsはそのままです。Functionalも「機能性」の訳としては妥当なものでしょう。

Claimsの単数形であるClaimは「要求」「クレーム」「債券」などの訳語とされていますが、「事実を主張する」という意味も持っています。また、日本語でも「ヘルスクレーム」と呼ばれている「健康の表示」「健康の強調表示」を意味する単語の「表示」の部分です。

機能性表示食品における表示は、ヘルスクレームとニアイコールともいえるため、Claim を用いてFoods with Functional Claimsとしているのは適訳だといえるでしょう。

関与成分の英語訳

続いては関与成分です。機能性表示食品における英語表記としては、Functional substanceがあてられています。Functionalは前述のとおり機能性、機能的といった意味を持っています。同時に、関与に近い意味もあるようです。Substanceは物質、中身といった意味を持ち、成分とするのに問題はないでしょう。

届け出表示の英語訳

最後に届け出表示です。Submitted Claimとなっています。Submittedは「提出する、された」「提示する、された」といった意味であり、届け出に適した訳です。Claim は機能性表示食品のところでも述べたように、健康分野で表示を表す単語となっています。

機能性表示食品の海外展開

機能性表示食品は国内から海外市場を見据えた展開の時期に入っているといわれています。

機能性表示食品の国内市場における成長

機能性表示食品の制度がはじまったのは2015年からで、以降さまざまな食品が機能性表示食品として市場に登場しています。最初の届け出は、2015年4月13日のライオン株式会社で、ラクトフェリンを機能性関与成分とする商品です。消費者庁のデータでは、2019年2月3日時点での届け出件数は1761件にも上っています。

国内での認知度が上がり、広がりを見せてきたことで、次は本格的な海外展開の機運が高まっているといえます。

海外展開の動機と目的

海外の先進国はもとより、発展途上国においても経済基盤が整い、国民生活に余裕が生まれるにつれて健康への意識が高まるのは必然です。そこで、機能性表示食品の海外展開を視野に入れるのは自然なことといえます。人口減少時代を迎え、国内市場だけでは先細りになるという危機意識も大きいです。

地球規模で健康を増進しようという崇高な理念とともに、そこには企業としての成長戦略があります。メイドインジャパンのブランド力だけで売るのが難しくなれば、もうひとつ別の価値が必要です。そのひとつが、健康を前面にプッシュした機能性表示食品です。欧米をはじめ各国では食品に関する表示についての法制度が進んでいることもあり、機能性表示食品のような枠組みが受け入れられやすい土壌にあることも重要なポイントとなります。

機能性表示食品の海外展開における課題

機能性表示食品そのものは日本国内のルールに沿ったものであり、そのままの形で海外に持って行けるとは限りません。

現地における同種表示との相互認証

食品の栄養や健康に寄与する成分などの表示に関する仕組みを持たない国であれば、日本式のルールを移植する余地も考えられます。しかし、すでに同種の表示に関するルールを確立している国や地域へ進出するには、当地のルールに合わせるか、共通規格とする必要性が出てきます。ここで問題となるのが、現地のルールに合わせるのであれば、機能性表示食品である必要がなくなる点です。

現地での規格化とは無関係に日本の機能性表示食品であるというブランドだけで展開する手もありますが、当該国の規制との関係を無視できないでしょうし、現地での認証がない状態ではブランド力にも限界が考えられます。海外における同種表示との相互認証が可能となれば、海外進出による大きな成果が期待できるでしょう。

進出形態の検討

機能性表示食品の海外展開にあたり、どのような形態で進出するかの検討も重要です。単に海外向けの商品を製造して輸出する形態から、自社で設備も人員も何もかも用意して出て行く形態、現地のメーカーなどに委託する形態などさまざまな形態が考えられます。

機能性表示食品の届け出をサポートする英語サイト

海外展開の際に、協力を要請する海外企業への説明などで英語表記が必要になることも考えられます。ここでは、機能性表示食品について英語で解説したサイトについて解説します。

薬事法ドットコムに支援ページがある

四半世紀近くにわたり健康と美容関連分野で活動しているサイトに薬事法ドットコムがあります。オンラインでもオフラインでもユーザーを支援しています。
http://www.yakujihou.com/kinou-lp/index-en.html

消費者庁の英文パンフレット

消費者庁では、2015年に機能性表示食品制度がスタートした際に、日本語のパンフレットに加えて、英文に訳した消費者向けと事業者向けのパンフレットをリリースしています。
消費者向け
https://www.e-expo.net/pdf/news2015/20151228_caa01.pdf
事業者向け
https://www.e-expo.net/pdf/news2015/20151228_caa02.pdf

▽まとめ

機能性表示食品のグローバル化を迎えて

機能性表示食品の海外展開が進みグローバル化して行けば、英語での表記・表現がより重要になります。海外企業との連携を考えれば、基本的な単語の英語表記だけでなく、より複雑な内容についても適切な英語表記が求められるでしょう。その際、役に立つのが薬事法.comなどの支援サイトです。こうしたサイトを有効活用してはいかがでしょうか。

▽参考情報

https://bifidus-fund.jp/keyword/kw035.shtml
https://eow.alc.co.jp/search?q=claim
https://www.kenko-media.com/food_devlp/archives/2284
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/search
http://www.him-news.com/news/view/3228
https://yakujihou-marketing.co.jp/functional-food/2654/

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