デトックスが薬事法で使えるのは医薬品に関してだけだった

デトックス効果という言葉を用いることは、健康志向の女性を中心に注目を集めそうな表現です。しかし、デトックスという単語は薬事法の規制により医薬品にしか使えません。薬事法がこだわる効能効果と許される表現の関係は厳密なものです。ここでは、デットクスを元に、効能効果と言い換えなど薬事法の表現について解説します。

デトックスとはDetoxification解毒のこと

健康志向の高まりとともに、すっかり有名な単語になったデトックスという言葉ですが、しばらく聞いていないと感じる人もいるでしょう。デトックスとは、英語のDetoxificationからきており、その意味は解毒です。

解毒を意味するデトックスは規制の対象

薬事法の規制が浸透するに連れて、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の広告宣伝に使用される表現が変わっているのは事実です。

規制に引っかからない表現を求めて、広告主やライターなどの広告関係者は文言を磨いています。デトックスという単語を聞く機会が減ったと感じるなら、理由はそのあたりにあります。

なぜなら解毒を意味するデトックスは、薬事法(現・薬機法)では使用が制限される単語だからです。

医薬品でなければ使えないデトックス

薬事法による規制では、デトックスという表現が使えるのは医薬品についてのみとされています。つまり、医薬品に分類されない健康食品や化粧品などでデトックスを使うことは許されません。

デトックスが化粧品などに使えない理由とは

デトックスが医薬品にしか使えないとはいうものの、薬事法に直接そう書いてあるわけではありません。

化粧品の効能効果に範囲にデトックスはない

デトックスが医薬品以外に使えるかどうかは、薬事法の規定を受けて出されている医薬品等適正広告基準の定めに当てはめて解釈されます。そして、化粧品などには毒を解かす効能効果はないため、デトックス・解毒という言葉は使えません。

もし、化粧品など医薬品ではない製品についてデトックス効果があるような表現をすれば、薬事法第66条第1項に抵触する虚偽広告、誇大広告となってしまいます。
※参照条文:薬事法第66条第1項「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。」

ちなみに、事実に反する表現を用いれば薬事法だけでなく、景品表示法など他の法令の違反となることもあります。

解毒は治療効果を意味する言葉

そもそも、解毒は薬理作用や治療効果によるものといえます。したがって、医薬品の効能効果として使われるべきものであり、化粧品その他に使用すると許される範囲を完全に逸脱する表現です。

デトックスを言い換えることができるのか

薬事法違反を回避するために、広告主やコピーライター、アフィリエイト記事のライターなどは、言い換え表現を多用する傾向があるといわれています。言い換え表現を使おうとするのは、薬事法で言い換えが有効となるケースがあるためです。

たとえば、肌の衰えが気になる女性向けの化粧品で、「肌を若返らせる。」などの表現をすることは許されていません。過去に戻る効能効果を持った化粧品など存在せず、明らかに違法な表現となります。

しかし、「肌を整える。」という表現であれば、実際に肌を整える効果を持つ化粧品に限り使用が許されます。これは言い換えではなく、事実に即した表現を用いただけともいえますが、限りなく近いイメージの言葉を使うための参考になる事例といえます。

化粧品は56個の効能効果がカギ

化粧品には、使用が許される効能効果の表現が56個示されています。逆にいえば、この56個と意味が一致しない表現は使えないということです。事実に反しない言い換えをする場合でも、56個の効能効果を超えてはいけません。先ほどの「肌を整える。」という表現は、実際に56個中の19番目に示されています。

解毒をどう言い換えても医薬品以外の範疇にはならない

身体の中にある老廃物や毒素を排出する解毒は、どのように言い換えても医薬品の範疇の文言にしかなりません。もし、そうでない表現になったとしたら、それはデトックスを連想させるものではないでしょう。つまり、言い換える意味がなくなります。

デトックスした結果に言い換えるのはアリか

デトックス自体を医薬品以外に使える別の表現に言い換えることはまず無理ですが、デトックスした結果を別の効能効果に当てはめる手法が使えないか検討します。

言い換え表現の是非

仮にデトックスによって肌荒れを防げるとした場合、「肌荒れを防ぐ。」という表現は化粧品の22番にあります。しかし、今度はその製品に肌荒れを防ぐ効能効果が実在するかどうかが問題です。つまり、この時点でデトックスの成分や効果はまったく関係のない話になるのです。したがって、言い換えはできないという結論になります。

そもそもデトックス成分は入っていない

そもそも論として、医薬品以外にデトックス成分は入っていないため、デトックス効果を考える必要性がないです。つまり、はじめから言い換える必要もありません。

▽まとめ

薬事法では言い換えとともに言い換える意味も重要

どのような表現でも言い換えれば薬事法をクリアするわけではありません。あくまでも、それぞれに許された効能効果の範囲であれば言い換えも可能なケースがあるということです。そして、大事なことは言い換える意味があるかどうかで、デトックスのように言い換えが意味をなさないのでは無駄なこととなります。とにかく複雑な薬事法ですが、もっと勉強して薬事法管理者になれば、悩むこともなくなるでしょう。


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▽参考情報

https://www.jcia.org/user/common/download/business/advertising/JCIA20170906_ADguide.pdf
http://www.89ji.com/law/2955/
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000145#1125
https://www.meiji.co.jp/yogurtlibrary/style/beauty/06/

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